「本を出してみたい！」
そう思ったことはありますか？ 自分の知識や経験、物語を形にして、誰かに届けたい。それは多くの人が一度は抱く夢かもしれません。
しかし、「本を出す」と聞くと、出版社に企画を持ち込んで審査を通り、多額の費用や複雑な手続きが必要で、一部の特別な人にしかできないことのように感じてしまいがちです。
でも、もし、パソコンとインターネット環境があれば、誰でも気軽に自分の本を出版できる方法があるとしたらどうでしょう？
実は、それが Amazon Kindle出版 なのです。
この記事では、「本なんて書いたこともないし、出版の知識もない」という全くの超初心者の方に向けて、Amazon Kindle出版で本を出すための基礎知識から具体的な手順までを、分かりやすく丁寧にご説明します。
この記事を読めば、あなたの「本を出したい」という夢を叶える第一歩を踏み出すための、確かな道筋が見えてくるはずです。
さあ、一緒にKindle出版の世界へ飛び込んでみましょう！
Amazon Kindle出版とは？商業出版との違いを知ろう
まず、Amazon Kindle出版がどのようなものか、そして従来の商業出版と何が違うのかを理解しておきましょう。
Amazon Kindle出版 は、正式には Kindle Direct Publishing (KDP) と呼ばれる、Amazonが提供する電子書籍のセルフ出版プラットフォームです。
- セルフ出版: 出版社を通さずに、著者自身が企画、執筆、編集、DTP（組版）、出版申請、価格設定、プロモーションまでを行います。
これに対して、商業出版 は、出版社が著者の原稿を評価し、採用された場合に編集、DTP、印刷、流通、販売促進を全て行い、書店などに並べる形です。
両者の主な違いをまとめてみましょう。
| 項目 | Amazon Kindle出版 (KDP) | 商業出版 |
| :————— | :————————————– | :—————————————— |
| 出版の可否 | 基本的に誰でも可能（規約内であれば） | 出版社の企画会議や編集者の採用が必要 |
| 初期費用 | ほとんどかからない（執筆環境、DTPツールなど） | 基本的に著者負担はない（出版社が負担） |
| 在庫リスク | なし（電子書籍のため） | あり（出版社が抱える） |
| 印税（ロイヤリティ） | 35%または70% | 5%～10%程度（一般的に） |
| 出版スピード | 短期間（数日～数週間） | 長期間（数ヶ月～1年以上） |
| 改訂・修正 | 容易 | 難しい（増刷時など） |
| 販売促進 | 著者自身が行う部分が大きい | 出版社が主導するが、著者も協力が必要 |
| 流通 | Amazon Kindleストアのみ | 全国の書店、オンライン書店など |
ご覧のように、Kindle出版は初期費用を抑え、誰でも気軽に始められるのが最大の特長です。出版社に頼ることなく、自分のペースで本を世に出すことができます。
Kindle出版の魅力！なぜ今、個人出版なのか？
Kindle出版には、本を出したいと願う個人にとって、非常に魅力的な点がたくさんあります。ここでは、その主なメリットをご紹介します。
1. 圧倒的な低コストと在庫リスクなし
従来の紙の出版では、印刷費用や在庫を抱えるリスクが大きな壁となります。しかし、電子書籍であるKindle出版には、印刷費用や在庫の心配は一切ありません。 基本的に、執筆・編集に使うパソコンやソフトウェア、そして少しの勉強時間があれば始められます。費用面でのハードルが極めて低いのです。
2. 誰でも「著者」になれる時代
出版社に企画を持ち込む必要も、審査を通過する必要もありません。Amazonの規約に違反しない内容であれば、あなたが書いたものをそのまま電子書籍として出版できます。これは、「自分には書けることがある！」という全ての人に開かれたチャンスと言えます。
3. 高いロイヤリティ率
Kindle出版では、著者への収益分配率（ロイヤリティ率）を35%または70%から選ぶことができます。（70%を選ぶにはいくつか条件があります。後述します。）これは、商業出版の印税率（一般的に5%～10%程度）と比較すると、非常に高い割合です。多くの人に読まれれば、それだけ大きな収益を得られる可能性があります。
4. 世界中の読者に届けられる
Amazonは世界最大級のオンラインストアです。Kindleストアを通じて、あなたの本を日本国内だけでなく、世界中のKindleユーザーに届けることができます。言語の壁はありますが、国境を越えてあなたの作品が読まれる可能性があるのは、非常に夢のある話です。
5. 内容の更新が容易
紙の本と違い、電子書籍は出版した後でも内容の修正や追加が比較的簡単に行えます。情報のアップデートが必要な解説書や、誤字脱字が見つかった場合など、常に最新の状態に保つことができるのは大きな利点です。
6. スピード感のある出版
原稿と表紙の準備ができていれば、KDPにアップロードして申請後、早ければ24時間以内に出版されることもあります（通常は72時間以内）。思い立ってから比較的短期間で本を世に出せるスピード感は、商業出版では考えられないことです。
7. あなた自身のブランディングになる
専門知識や経験をまとめた書籍を出版することは、その分野におけるあなたの権威性や信頼性を高めることにつながります。「〇〇の専門家」「〇〇の著者」といった肩書きは、ビジネスやキャリアにおいて大きなプラスとなるでしょう。
これらのメリットは、「本を出したいけれど、どうすればいいか分からない」という初心者にとって、非常に大きなモチベーションとなるはずです。
Kindle出版のデメリット・注意点も理解しておこう
魅力的なKindle出版ですが、もちろん全てがバラ色というわけではありません。始める前に知っておくべきデメリットや注意点も存在します。
1. 全てを一人でこなす必要がある
Kindle出版は「セルフ出版」です。つまり、企画、執筆、編集、校正、DTP（電子書籍ファイル作成）、表紙デザイン、さらには出版後のプロモーションや販売促進まで、全てを著者自身が行う必要があります。プロの編集者やデザイナーのサポートは基本的にありません。
2. 販売戦略は自己責任
出版したからといって、自動的に本が売れるわけではありません。Amazonのプラットフォームに乗るとはいえ、読者にあなたの本を見つけてもらい、手に取ってもらうための努力（プロモーション）は著者自身が行う必要があります。
3. 収益化までには時間がかかることも
多くの個人出版書籍が日々生まれています。その中であなたの本が埋もれずに読者の目に留まり、継続的に収益を上げるまでには、ある程度の時間や試行錯誤が必要になる可能性があります。すぐに「印税で生活できる」といった幻想は持たない方が良いでしょう。
4. ある程度の技術的な知識が必要になる場合がある
原稿をKindle形式に変換する作業（DTP）や、表紙の画像ファイル作成など、基本的なパソコンスキルやファイル形式に関する知識が必要になる場合があります。最近では便利なツールも増えましたが、全くのゼロから始める場合は少し学習が必要です。
5. 電子書籍ならではの制約
レイアウトの自由度や、画像や図版の表現方法など、紙の書籍と比較すると表現上の制約がいくつか存在します。複雑なレイアウトや、特定のフォントにこだわりたい場合などは、意図通りにならない可能性もあります。
これらのデメリットも踏まえた上で、「それでも挑戦したい！」と思えるかどうか。Kindle出版は、ある意味で著者としての総合的なスキルと粘り強さが試される場所とも言えます。
超初心者でも大丈夫！Kindle出版の具体的な手順
さて、ここからが本番です。「どうやって出版すればいいの？」という疑問に答えるべく、Kindle出版の具体的な手順をステップごとに見ていきましょう。
ステップ1：本の企画を練る
何を書くかを決めます。これがKindle出版の最初の、そして最も重要なステップです。
- 何について書きたいですか？ あなたの得意なこと、詳しいこと、情熱を傾けていることは何ですか？
- 誰に読んでもらいたいですか？ どんな悩みを持っている人？ どんな情報を求めている人？ ターゲット読者を明確にしましょう。
- 読んだ人にどうなってほしいですか？ あなたの本を読むことで、読者は何を得られるのでしょう？ どんな知識やスキル、感情、行動につながるのでしょう？ 本の「目的」を考えましょう。
- 類書調査: すでにKindleストアには、あなたの書きたいテーマに関する本があるはずです。他の本はどんな内容で、どんな点が優れているか？ あなたの本はどこが違うのか？ どんな読者層に売れているのか？ を調べてみましょう。
この企画段階で、本のテーマ、ターゲット、目的、そして全体の構成（目次案）をしっかりと固めることが、後の執筆や販売につながる土台となります。
ステップ2：原稿を執筆・編集する
企画が固まったら、いよいよ執筆です。
- 執筆ツール: Word、Googleドキュメント、Apple Pagesなど、普段使い慣れている文章作成ソフトで構いません。
- 読みやすい文章構成: タイトルや見出しを効果的に使い、パラグラフを短くするなどの工夫で、電子書籍でも読みやすい文章を心がけましょう。箇条書きや番号付きリストも積極的に活用します。
- 校正: 執筆が終わったら、誤字脱字、文法の間違い、表現の統一などを徹底的にチェックします。自分一人で行うのは大変なので、可能であれば他の人に読んでもらったり、校正ツールを活用したりするのも良いでしょう。
ステップ3：Kindle形式に原稿を整形する（DTP）
書きあがった原稿ファイルを、Kindleストアで販売できる形式に変換する作業です。これが初心者にとって少しハードルになるかもしれません。
- 推奨形式: KDPが推奨する形式はいくつかありますが、一般的には
.docxファイル（Word形式）かEPUB形式がよく使われます。 - Wordファイルをそのままアップロード？ KDPは
.docxファイルを直接アップロードできますが、複雑なレイアウトの場合、意図通りにならないことがあります。簡単なテキスト中心の本であれば問題ない場合が多いです。 - Kindle Createを使う: Amazonが無料で提供している執筆・整形ツールです。Wordファイルを取り込んで、Kindle形式に変換したり、目次や画像などを簡単に挿入したりできます。初心者にはおすすめです。
- EPUBを作成する: より細かくレイアウトを制御したい場合や、他の電子書籍ストアでの販売も視野に入れる場合は、EPUB形式で作成するのが一般的です。Sigilなどの無料ツールや、専門のソフトウェア（Adobe InDesignなど）がありますが、これは少し専門知識が必要です。
まずはWordファイルをKDPに直接アップロードするか、Kindle Createを使ってみるのが良いでしょう。KDPの公式ヘルプページには詳細なガイドラインが載っていますので、必ず確認しながら進めましょう。
ステップ4：魅力的な表紙を作成する
「本は表紙で決まる」と言われるほど、表紙は非常に重要です。読者はKindleストアでサムネイルを見て、読むか読まないかを判断することが多いからです。
- 重要性: 内容がどんなに素晴らしくても、表紙が魅力的でないとクリックすらしてもらえません。ターゲット読者に響くデザインを意識しましょう。
- 作成方法:
- KDPの表紙作成ツール: Amazonが提供する無料ツールです。テンプレートを選んで文字や画像を配置するだけで、簡単に作成できます。初心者向けです。
- デザインツールを使う: Canva、Photoshop、Illustratorなどのツールを使って自分でデザインします。ある程度のデザインスキルが必要です。
- プロに依頼する: クラウドソーシングサイトなどで、専門のデザイナーに依頼することも可能です。費用はかかりますが、高品質な表紙が期待できます。
ステップ5：KDPアカウントを登録し、本の情報を入力する
Amazon KDPのウェブサイトにアクセスし、アカウントを作成します。
- アカウント登録: Amazonのアカウントがあれば、簡単にKDPのアカウントも作成できます。
- 税務情報: 収益が発生するため、税務情報の登録が必要です。日本の居住者であれば、基本的には難しくありません。
- 支払い情報: ロイヤリティを受け取るための銀行口座情報を登録します。
- 本の詳細情報: KDPの管理画面で、本のタイトル、著者名、本の紹介文（あらすじ）、キーワード（検索されやすくするための単語）、カテゴリーなどを設定します。特に紹介文とキーワードは、読者が本を見つける上で非常に重要なので、時間をかけてしっかり考えましょう。
ステップ6：原稿ファイルと表紙画像をアップロードする
作成した原稿ファイルと表紙画像をKDPの管理画面からアップロードします。
- ファイルのアップロード: ステップ3で準備した電子書籍ファイルと、ステップ4で準備した表紙画像を所定の場所にアップロードします。
- プレビュー機能: KDPには、アップロードしたファイルがKindle端末やアプリでどのように表示されるかを確認できるプレビュー機能があります。必ずプレビューで表示崩れがないかを確認しましょう。
ステップ7：価格設定と権利設定
本の価格と、ロイヤリティ率などを設定します。
- ロイヤリティオプション:
- 35%: 価格帯に制限がなく、配信コスト（本のファイルサイズに応じてかかる費用）が著者負担です。
- 70%: 価格帯に制限があり（例えば日本では250円～1,250円）、配信コストが著者負担となります。ただし、KDPセレクトに登録した場合のみ選択可能です。
- KDPセレクト: 90日間の独占販売契約を結ぶことで、70%ロイヤリティを選択できたり、Kindle Unlimitedの読み放題対象になったり、プロモーションキャンペーン（無料キャンペーン、カウントダウンセール）が利用できるようになります。他の電子書籍ストアでの販売を考えていない場合は、登録を検討する価値は大きいです。
- 価格設定: 他の類書や本のボリュームなどを参考に、適切な価格を設定しましょう。価格は後から変更することも可能です。
ステップ8：出版申請を行う
全ての設定が終わったら、最終確認をして「出版」ボタンをクリックします。
- 審査: Amazonによる審査が行われます。規約違反がないかなどがチェックされます。
- 出版完了: 審査に通れば、数時間から数日以内にKindleストアであなたの本が販売開始されます！
出版したら終わりじゃない！プロモーションのススメ
無事に出版できたとしても、それで全てが完了したわけではありません。あなたの本を読者に届けるためには、プロモーションが欠かせません。
- SNSで告知: Twitter, Facebook, Instagramなどで、出版したことを広く知らせましょう。本の魅力や、書いた経緯などを発信します。
- ブログやウェブサイトでの紹介: 自分のブログやウェブサイトを持っているなら、本の紹介記事を書いたり、サイドバーにリンクを貼ったりしましょう。
- メールマガジン: もし読者リストがあるなら、メルマガで出版のお知らせと本の魅力を伝えましょう。
- Kindleキャンペーンの活用: KDPセレクトに登録していれば、無料キャンペーンやカウントダウンセールを実施できます。一時的に順位が上がり、多くの人に知ってもらえるチャンスです。
- 読者レビューのお願い: Amazonのレビューは、他の読者が本を選ぶ上で非常に参考になります。読後、レビューを書いてもらえるように促してみましょう。
これらのプロモーション活動は、本の売上を伸ばすだけでなく、あなたの「著者」としての認知度を高めるためにも非常に重要です。
まとめ：あなたの「本を出したい」をKindle出版で叶えよう！
この記事では、Amazon Kindle出版の基本から、超初心者でもできる具体的な出版手順までをご紹介しました。
Kindle出版は、従来の商業出版のような高いハードルがなく、「本を出したい」という情熱さえあれば、誰でも「著者」になれる素晴らしいプラットフォームです。
もちろん、全てを自分一人でやる大変さや、必ずしも大きな収益につながるとは限らないといった側面もあります。しかし、それ以上に、自分の書いたものが世に出て、誰かに読んでもらえる喜びは、何物にも代えがたい経験となるでしょう。
もしあなたが少しでも「本を書いてみたい」「自分の知識や経験を誰かに届けたい」と思っているなら、ぜひAmazon Kindle出版に挑戦してみてください。
まずは、書きたいテーマを考えて、パソコンに向かってみることから始めてみましょう。あなたの最初の1冊が、多くの読者と出会えることを願っています！
