アドビコンプリートプランは本当に必要?現役ユーザーが本音レビュー
この記事では、現役でアドビコンプリートプランを長年利用している筆者が、その真の価値と本音のレビューをお届けします。クリエイティブな活動をしている方、これから始めたい方、あるいは仕事で必要だけど迷っている方にとって、この記事が最適な選択をするための一助となれば幸いです。
読み終える頃には、あなたにとってアドビコンプリートプランが必要かどうか、明確な答えが見つかっているはずです。
まずは、アドビコンプリートプランがどのようなサービスなのか、その基本的な部分から見ていきましょう。
アドビコンプリートプラン、正式名称「Creative Cloudコンプリートプラン」は、アドビシステムズが提供するクリエイティブツール群「Adobe Creative Cloud」に含まれるすべてのアプリケーションとサービスを利用できるサブスクリプションプランです。
コンプリートプランの最大の特長は、その名の通り、アドビが提供するほぼすべてのクリエイティブアプリが使い放題になる点です。デザイン、写真編集、動画編集、Web制作、UI/UXデザイン、3D、オーディオなど、あらゆる分野をカバーするプロフェッショナルツールが含まれています。
コンプリートプランには50以上のアプリやサービスが含まれますが、特に多くのユーザーが利用する代表的なものをいくつかご紹介します。
アプリ名 | 主な用途 |
---|---|
Photoshop (フォトショップ) | 写真編集、画像合成、デジタルペインティング |
Illustrator (イラストレーター) | ベクターイラスト、ロゴデザイン、DTP |
Premiere Pro (プレミアプロ) | 動画編集、映像制作 |
After Effects (アフターエフェクツ) | モーショングラフィックス、VFX (特殊効果) |
InDesign (インデザイン) | DTP、書籍・雑誌・ポスターなどのレイアウト |
XD (エックスディー) | UI/UXデザイン、プロトタイピング |
Lightroom (ライトルーム) | 写真の管理・現像・編集 |
Audition (オーディション) | オーディオ編集、サウンドミキシング |
Dreamweaver (ドリームウィーバー) | Webサイト制作、コーディング |
Animate (アニメイト) | インタラクティブアニメーション、ゲーム開発 |
Substance 3D (サブスタンス 3D) シリーズ | 3Dテクスチャリング、モデリング (一部) |
これらに加えて、フォントサービス「Adobe Fonts」、クラウドストレージ「Creative Cloudストレージ」、ストック素材サービス「Adobe Stock」(一部利用可能)、ポートフォリオ作成サイト「Adobe Portfolio」、共同作業ツール「Creative Cloudライブラリ」など、クリエイティブワークを加速させるための様々なサービスも利用できます。
まさに、クリエイターにとっての「全部入り」パックと言えるでしょう。
ここからは、実際にコンプリートプランを使い続けている筆者が感じている、率直なメリットをお伝えします。
これがコンプリートプラン最大の利点です。
単体プランの場合、これらのアプリを使うためには追加で契約するか、プランを変更する必要が出てきます。しかし、コンプリートプランなら、追加費用なしでダウンロードしてすぐに使い始めることができます。
仕事の幅を広げたい、新しい表現方法に挑戦したいと思ったときに、「アプリがないからできない」という壁にぶつからないのは、想像以上に快適で、クリエイティブなモチベーションを維持する上で非常に重要です。
アドビのアプリはそれぞれが非常に高い連携性を持っています。
これらの連携機能は、複数のアプリを組み合わせて一つの作品を作り上げる際に、作業効率を劇的に向上させてくれます。ファイル形式の互換性はもちろん、特定の機能が他のアプリと連動することで、より高度で複雑な表現が可能になります。
コンプリートプランを利用していると、これらの連携機能を最大限に活用できるため、クリエイティブワーク全体の質とスピードが向上するのを実感できます。
サブスクリプションモデルの大きな利点の一つですが、コンプリートプランでも同様です。アドビは定期的にアプリのアップデートを行い、新機能の追加やパフォーマンスの改善、バグ修正を行っています。
特に近年は、Adobe Senseiと呼ばれるAI技術を活用した機能が続々と追加されており、作業の自動化や効率化が飛躍的に進んでいます。例えば、Photoshopの「選択とマスク」の精度向上、Premiere Proの文字起こし機能、After Effectsのコンテンツに応じた塗りつぶしなど、最新機能を使えるかどうかで作業時間が大きく変わることも珍しくありません。
コンプリートプランなら、追加費用なしでこれらの最新アップデートをすぐに適用できるため、常に最先端の環境でクリエイティブワークを行うことが可能です。これは、特にプロとして活動している方にとっては、競争力を維持する上で非常に重要な要素となります。
コンプリートプランはアプリだけでなく、様々な付帯サービスも含まれています。
これらのサービスは、単体で契約すると費用がかかるものや、コンプリートプランでなければ利用できないものも含まれています。特にAdobe Fontsは非常に強力で、デザインの質を大きく向上させてくれるため、これだけでもコンプリートプランの価値を感じる方は多いはずです。
アドビは公式に、各アプリの使い方や新しい機能に関するチュートリアル、セミナーなどの学習リソースを豊富に提供しています。コンプリートプランユーザー向けの限定コンテンツもあります。
また、多くの専門学校やオンラインスクール、個人ブロガーやYouTuberがアドビ製品の使い方に関する情報を発信しており、困ったときに調べやすい環境が整っています。ユーザー数が非常に多いため、マイナーなトラブルシューティングの情報も見つけやすい傾向にあります。
新しいアプリを始める際や、特定の機能を使いこなしたいと思ったときに、学習のハードルが低いのは、コンプリートプランを契約する大きな安心材料となります。
もちろん、コンプリートプランにもデメリットは存在します。特に多くの人が気になるのは「料金」でしょう。
コンプリートプランの最大のデメリットは、やはり月額または年額の料金です。単体プランと比較すると、当然ながら高額になります。
「毎月(毎年)この金額を払い続けるのは、正直負担に感じる時もある」というのが、多くのユーザーの偽らざる気持ちだと思います。特に、利用するアプリが限られている場合や、趣味でたまに使う程度の場合、コストパフォーマンスが悪く感じられる可能性があります。
ただし、この「高い」という感覚は、何と比較するか、どのように利用するかによって大きく変わります。後述する「どんな人なら必要か」の項目で詳しく解説しますが、複数のアプリを日常的に利用するプロフェッショナルにとっては、むしろ「これだけのツールとサービスが使い放題でこの値段なら安い」と感じることもあります。
料金については、単に金額の大小だけでなく、得られるリターン(仕事での収益向上、スキルの習得、表現の幅の拡大など)と照らし合わせて考える必要があります。
これはコンプリートプランに限った話ではありませんが、サブスクリプションモデルであること自体がデメリットと感じる人もいます。
かつての買い切りモデルのように、一度購入すれば永続的に使えるわけではありません。これは、利用頻度が低い人にとっては無駄な出費になりかねません。また、将来的に利用を停止した場合のことも考慮しておく必要があります。例えば、Photoshopで作成したPSDファイルを、Photoshopが使えなくなった後にどう扱うか、といった問題です。
ただし、常に最新版が使える、複数のデバイスで利用できる(ライセンスによる)、クラウドサービスと連携できる、といったサブスクリプションならではのメリットも大きいので、これは自身の利用スタイルと照らし合わせて評価すべき点です。
コンプリートプランには多数のアプリが含まれていますが、正直、すべてのアプリを使いこなしているユーザーは稀です。多くのユーザーは、特定の主要アプリ(例:Photoshop, Illustrator, Premiere Pro)を中心に利用し、他のアプリはたまに触る程度、あるいは全く使わないというケースが多いのではないでしょうか。
筆者もコンプリートプランユーザーですが、日常的に使うのはPhotoshop, Illustrator, Premiere Pro, After Effects, Audition, XDあたりで、他のアプリは仕事で必要になった時や、新しい技術を学ぶ際に触る程度です。
「使わないアプリにも料金を払っている」と感じてしまうと、デメリットに映るかもしれません。しかし、前述のメリット1(必要な時にすぐ使える)の裏返しでもあります。「いつか使うかもしれない」「新しいことに挑戦したい」という可能性に投資していると捉えることもできます。
アドビのプロ向けアプリは、高機能である反面、ある程度のPCスペックを要求します。特に動画編集のPremiere ProやモーショングラフィックスのAfter Effects、3D関連のアプリは、CPU、メモリ、GPUの性能が低いと動作が重くなったり、書き出しに時間がかかったりすることがあります。
コンプリートプランを契約しても、PCのスペックが不足していると、アプリの性能を十分に引き出せない可能性があります。契約前に、利用したい主要アプリの推奨システム構成を確認しておくことが重要です。
メリット・デメリットを踏まえた上で、どのような人にとってコンプリートプランが「必要」と言えるのか、具体的に考えてみましょう。
コンプリートプランを検討する上で、最も気になるのが料金でしょう。ここでは、料金体系と、それが「高い」と感じるかどうかの筆者なりの考察を述べます。
料金は契約方法によって異なります。
契約方法 | 料金(目安) | 特徴 |
---|---|---|
個人版 (年間プラン・月々払い) | 月額 約6,480円 | 年間契約だが、支払いは毎月。最も一般的な契約方法。 |
個人版 (年間プラン・一括払い) | 年額 約72,336円 | 年間契約で一括払い。月々払いより若干割安。 |
個人版 (月々プラン) | 月額 約9,680円 | 契約期間の縛りなし。料金は最も高いが、必要な時だけ利用できる。 |
学生・教職員版 (年間プラン) | 月額 約2,180円 | 学生・教職員向けの特別価格。圧倒的に安い。 |
法人版 | 料金は要問い合わせ | チームでの利用に適した機能やサポートが付帯。 |
※上記料金は記事執筆時点のものであり、変更される可能性があります。正確な料金はアドビ公式サイトでご確認ください。
注目すべきは、学生・教職員版の料金の安さです。対象となる方は、迷わずこのプランを選ぶべきでしょう。
個人版の場合、年間プラン(月々払いまたは一括払い)が最も一般的で、月々プランよりも割安です。ただし、年間契約の途中で解約すると違約金が発生する場合があるので注意が必要です。
「月額約6,480円」という金額をどう捉えるか、これがコンプリートプランが必要かどうかの分かれ道になります。
筆者の感覚としては、月に数万円以上の収益をクリエイティブワークから得ている、あるいは将来的にそうなりたいと考えて真剣に取り組んでいるのであれば、コンプリートプランの料金は十分にペイできる範囲だと感じています。
一方で、趣味で月に数時間程度しか使わない、というレベルであれば、単体プランや他の安価なツールを検討する方が賢明でしょう。
もしコンプリートプランの契約を検討するなら、以下の点を意識するとより有益に利用できるでしょう。
アドビはコンプリートプランの7日間無料体験を提供しています。この期間中に、自分が本当に使いたいアプリは何か、どの程度使いそうかをじっくり見極めましょう。普段使わないアプリもいくつか触ってみて、どんな機能があるのか確認するのも良いでしょう。
予算に余裕があれば、年間プランの一括払いを選択すると、月々払いよりも若干ですが総額を抑えることができます。長期的に利用することが確定している場合は、一括払いも有効な選択肢です。
アドビは不定期にセールやキャンペーンを実施することがあります。特にブラックフライデーやサイバーマンデー、新生活応援キャンペーンなどの時期には、通常よりも大幅に割引されることがあります。急ぎでなければ、これらの機会を狙って契約するとお得に入手できます。
自身や家族に学生や教職員がいる場合、学割プランを利用できる可能性があります。学割プランは非常に安価なので、対象となるかどうかを必ず確認しましょう。
コンプリートプランにはクラウドストレージが付帯しますが、プランによって容量が異なります。もし大量のクラウドストレージが必要ない場合は、必要最低限の容量のプランを選択することで、料金を抑えられる場合があります。(ただし、個人版コンプリートプランのストレージ容量は固定されていることが多いので、これは主に法人版などで検討する点かもしれません。)
コンプリートプランだからといって、すべてのアプリをインストールする必要はありません。PCのストレージ容量を圧迫するだけです。必要なアプリだけをインストールし、定期的に使っていないアプリはアンインストールするなど、賢く管理しましょう。
アドビ製品は業界標準となっているものが多いですが、それが唯一無二の選択肢というわけではありません。前述のAffinityシリーズやDaVinci Resolveなど、安価または無料でありながら高性能な代替ツールも存在します。
もし現在のワークフローで特に問題がなく、コストを抑えたいのであれば、これらの代替ツールで目的が達成できないか検討する価値は十分にあります。アドビ製品に固執せず、自身の目的や予算に合った最適なツールを選ぶ視点を持つことが重要です。
アドビは近年、AI技術「Adobe Sensei」の活用を加速させており、今後も様々なアプリにAI機能が統合されていくと考えられます。これにより、より複雑な作業が自動化されたり、これまで不可能だった表現が可能になったりするでしょう。
また、Webブラウザ上で動作する軽量版アプリや、モバイルアプリとの連携も強化されており、デバイスを問わないシームレスなクリエイティブ環境の実現を目指しているようです。
さらに、3DやAR/VRといった新しい分野への投資も積極的に行っており、コンプリートプランに含まれるアプリの種類も今後さらに増えていく可能性があります。
これらの進化のスピードについていくためには、やはり常に最新版を利用できるコンプリートプランが有利になるでしょう。クリエイティブ業界の最前線で活動し続けたいと考えるなら、アドビコンプリートプランは今後も中心的なツールであり続けると考えられます。
様々なアプリを自由に使えることによる表現の幅の拡大、アプリ間のシームレスな連携による作業効率の向上、そして常に最新の機能とサービスを利用できることは、プロとして活動する上で非常に大きなアドバンテージとなります。
もちろん、料金が高い、サブスクリプションであるといったデメリットも存在します。しかし、自身の利用目的、頻度、そしてそこから得られるリターンを冷静に判断すれば、それが適正な投資であるかどうかの答えは見えてくるはずです。
あなたは、アドビコンプリートプランに含まれる複数の強力なツールを使いこなし、自身のクリエイティブな可能性を最大限に引き出し、それを仕事や自己表現に活かしていきたいと考えていますか?
もしその答えがYesであれば、コンプリートプランはきっとあなたの強力な相棒となってくれるでしょう。まずは無料体験や単体プランから、アドビの世界に触れてみることをおすすめします。
あなたのクリエイティブな旅が、より豊かで実りあるものになることを願っています。