人気FPSゲーム「Escape from Tarkov」(以下、タルコフ)は、その硬派なゲーム性で多くのプレイヤーを魅了しています。しかし、Steam版タルコフを起動しようとした際に突如として現れる「User action required」というエラーメッセージは、多くのプレイヤーを困惑させてきました。このエラーは、ゲームが予期せず終了したことを示唆し、解決策が見つからず途方に暮れる方も少なくありません。
本記事では、この厄介なエラーの原因を深掘りし、多くのプレイヤーが試みる一般的な解決策から、特に見落とされがちな決定的な解決策までを網羅的に解説します。あなたのタルコフライフを妨げる起動エラーから解放され、再び激戦のタルコフの世界へと飛び立つための具体的なステップを、分かりやすくご紹介しましょう。
タルコフ起動エラー「User action required」とは?
タルコフは、そのリアルなグラフィックと緊張感あふれるPvPvE(プレイヤー対プレイヤー対環境)要素が特徴のサバイバルFPSです。Steamを通じてゲームを起動する際、Battlestate Gamesの独自のランチャーが立ち上がり、そこからゲーム本体を起動する二段階のプロセスを踏みます。この過程で発生する「User action required」エラーは、ランチャーの「Play」ボタンを押した直後、あるいはゲームが起動しようとした瞬間に表示されることがほとんどです。
このメッセージは、ゲームが何らかの理由で正常に起動できず、強制終了されたことを意味します。多くの場合、ユーザーはエラー報告を促されますが、根本的な解決には至りません。一般的なPCゲームのエラーとは異なり、タルコフ特有の複雑な起動プロセスや、セキュリティソフトウェアとの予期せせぬ競合が原因となるケースが多いため、解決には一歩踏み込んだ調査が必要になります。
なぜタルコフでこのエラーが頻発するのか?
タルコフのエラーが他のゲームと比べて頻発する背景には、いくつかの要因が考えられます。
- **独自のランチャーシステム**: SteamとBattlestate Gamesランチャーの連携が複雑であり、その間で予期せぬ問題が発生しやすい。
- **ゲームの頻繁なアップデート**: ゲーム本体やランチャーが頻繁に更新されるため、古い設定やキャッシュ、あるいはセキュリティソフトウェアとの互換性問題が生じやすい。
- **高負荷なゲーム**: タルコフは高いPCスペックを要求するため、システムリソースの競合や安定性の問題が表面化しやすい。
- **セキュリティソフトウェアとの競合**: 特にゲームの整合性を監視するようなアンチチートシステムや、システム全体の挙動を監視するセキュリティ機能が、ゲームの起動プロセスを不正なものと誤認し、ブロックすることがある。
特に最後の「セキュリティソフトウェアとの競合」は、今回のエラー解決の鍵となる要素です。多くのセキュリティソフトは、悪意のあるプログラムからPCを保護するために、プログラムの挙動を深く監視します。しかし、この監視が正当なゲームプログラムの動作を妨げてしまうことがあるのです。
多くのプレイヤーが試した解決策とその限界
「User action required」エラーに直面した際、多くのプレイヤーが最初に試みる一般的なトラブルシューティングがあります。しかし、これらの方法は、今回のケースにおいては決定的な解決には至らないことがほとんどです。ここでは、具体的にどのような対策が試され、なぜそれらが効果を発揮しなかったのかを深掘りします。
以下に、ユーザーが実際に試した解決策と、それぞれの対策の限界をまとめました。
| 試した解決策 | 具体的な内容 | なぜ解決しなかったのか(限界) |
|---|---|---|
| 公式サイトからランチャーをダウンロード | Steam経由ではなく、Battlestate Gamesの公式サイトから直接ランチャーをダウンロードし、インストールし直す。 | ランチャー自体の破損や古いバージョンが原因であれば有効ですが、根本的なシステムレベルの競合には対応できません。 |
| Battlestate Gamesアカウントを作成 | Battlestate Gamesの公式アカウントが未作成の場合に作成する。 | ランチャーのログインに必要な手順であり、ゲーム起動エラーとは直接関係がないことが多いです。アカウント連携の問題であれば解決しますが、今回のエラーとは異なります。 |
| 再インストール | タルコフ本体、またはランチャーを一度アンインストールし、再度インストールする。 | ファイル破損やインストール時の不具合には有効ですが、外部要因(セキュリティソフトなど)によるブロックには無力です。DドライブからCドライブへの再インストールも、インストールパスの問題を解決する可能性はありますが、今回のケースでは不十分でした。 |
| PCの再起動 | PC全体を再起動し、一時的なシステムエラーやメモリの問題を解消する。 | 基本的なトラブルシューティングの第一歩ですが、持続的な問題や外部ソフトウェアによるブロックには効果がありません。 |
| NVIDIAの最新ドライバーをインストール | グラフィックドライバーを最新バージョンに更新し、グラフィック関連の互換性問題を解消する。 | グラフィック関連のエラーやパフォーマンス問題には有効ですが、ゲームの起動そのものを妨げる「User action required」エラーとは直接的な関連性が低いことが多いです。 |
| 時間を空けて起動(昼と夕方) | サーバー側の問題や一時的な混雑を考慮し、時間帯を変えて試す。 | サーバー側の問題であれば有効ですが、クライアント側で発生する起動エラーには効果がありません。 |
| Integrity checkを押してみる | Battlestate Gamesランチャーの機能で、ゲームファイルの整合性を確認し、破損したファイルを修復する。 | ゲームファイルの破損や欠落には有効ですが、外部ソフトウェアによるブロックやシステムレベルの競合には対応できません。 |
これらの対策は、PCゲームにおける一般的なトラブルシューティングとして非常に重要であり、多くのケースで問題を解決に導きます。しかし、今回の「User action required」エラーにおいては、これらだけでは不十分でした。これは、問題の原因がより深いシステムレベル、特にセキュリティソフトウェアとの競合にあったためと考えられます。
ユーザーは「Steamで開くランチャーの右上のプロフィール名とBattlestate Gamesのアカウント名が一致していないのが気になったぐらいです。(後ろの3文字が違う)」と述べていますが、これは直接的なエラーの原因ではありません。Battlestate Gamesアカウントはゲーム本体のログイン情報であり、Steamアカウントとは異なる場合があります。ただし、連携が正しく行われているか、ログイン情報が正しいかは確認する価値はあります。
決定的な解決策:カスペルスキーのシステムウォッチャー
多くの試行錯誤の末、この「User action required」エラーの真の原因と決定的な解決策が判明しました。それは、特定のセキュリティソフトウェア、特に「カスペルスキー(Kaspersky)」の機能である「システムウォッチャー」を無効化することでした。
この発見は、一般的なトラブルシューティングでは見過ごされがちな、セキュリティソフトウェアとゲームの間の複雑な相互作用を浮き彫りにします。
カスペルスキーとシステムウォッチャーとは?
カスペルスキーは、ロシア連邦に拠点を置く世界的に有名なコンピュータセキュリティ会社です。その製品は、ウイルス対策、マルウェア対策、ファイアウォール機能など、多岐にわたるセキュリティ機能を提供し、ユーザーのPCを様々な脅威から保護します。
その中でも「システムウォッチャー」は、カスペルスキー製品の中核をなす機能の一つです。
この機能は、PCのセキュリティを堅固に保つ上で非常に重要です。しかし、その強力な監視メカニズムが、タルコフのような正当なゲームプログラムの起動プロセスを「不審な挙動」と誤認し、ブロックしてしまうことが稀に発生します。特に、ゲームが独自のランチャーを介して起動し、システムファイルを読み書きするような複雑なプロセスを持つ場合、システムウォッチャーが過剰に反応する可能性が高まります。
ユーザーは「他のゲームでエラーになったことがない」と述べています。これは、セキュリティソフトウェアの種類や設定によって、プログラムの監視レベルや誤検知の基準が異なるためです。ノートンやバトルアイ(アンチチートシステム)といった主流のセキュリティ・アンチチートは、ゲームとの互換性を考慮した設計がなされていることが多いのに対し、カスペルスキーのシステムウォッチャーは、より広範で厳格な監視を行う傾向があるため、特定のゲームで問題を引き起こすことがあります。
カスペルスキーのシステムウォッチャーを無効化する手順
カスペルスキー製品のバージョンによってメニューの名称や配置が若干異なる場合がありますが、基本的な手順は以下の通りです。
- カスペルスキーを起動する: タスクトレイのアイコンを右クリックするか、スタートメニューからカスペルスキー製品を起動します。
- 設定を開く: 画面左下、または右上の歯車アイコン(設定)をクリックします。
- プロテクション設定に移動する: 設定メニューの中から「プロテクション」または「保護」といった項目を探してクリックします。
- システムウォッチャーを探す: プロテクション設定の中に「システムウォッチャー」または「行動監視」といった項目がありますので、これを見つけてクリックします。
- システムウォッチャーを無効にする: システムウォッチャーの項目にあるトグルスイッチやチェックボックスを操作し、「無効」または「オフ」の状態にします。
- 設定を適用し、カスペルスキーを終了する: 変更を保存し、カスペルスキーを一度終了(または再起動)します。
- タルコフを起動してみる: SteamまたはBattlestate Gamesランチャーからタルコフを起動し、エラーが解消されたか確認します。
セキュリティとゲームの共存:メリットとデメリット
カスペルスキーのシステムウォッチャーを無効化することでタルコフの起動エラーは解決しましたが、これはセキュリティとゲームの互換性という、より大きなテーマを提起します。ここでは、強力なセキュリティソフトウェアを導入するメリットと、それがゲーム体験に与えるデメリット、そして両者を共存させるための考え方について深掘りします。
強力なセキュリティソフトウェアのメリット
セキュリティソフトウェアは、現代のインターネット環境においてPCを保護するために不可欠なツールです。
- **ウイルス・マルウェアからの保護**: 悪意のあるソフトウェアの侵入を阻止し、PCのデータやプライバシーを守ります。
- **フィッシング詐欺対策**: 不審なウェブサイトへのアクセスを警告し、個人情報の漏洩を防ぎます。
- **ランサムウェア対策**: ファイルを暗号化して身代金を要求するランサムウェアからPCを保護します。システムウォッチャーのような挙動監視機能は、特にこの種の脅威に有効です。
- **ファイアウォール機能**: 不正なネットワークアクセスをブロックし、外部からの攻撃を防ぎます。
- **安全なオンラインバンキング**: 金融取引時のセキュリティを強化し、安全なオンライン決済をサポートします。
これらのメリットは、単にゲームをプレイするだけでなく、PCを日常的に使用する上で非常に重要です。特に、機密情報を扱う場合や、様々なウェブサイトを閲覧する場合には、強力なセキュリティソフトウェアが心の平和をもたらします。
ゲーム体験におけるデメリット
一方で、セキュリティソフトウェアの過剰な機能が、ゲーム体験に悪影響を及ぼすことも少なくありません。
- **ゲームの起動妨害**: 今回のタルコフの事例のように、ゲームの起動プロセスを不審な挙動と誤認し、ブロックすることがあります。
- **パフォーマンスの低下**: バックグラウンドでの常時監視やスキャンが、CPUやメモリのリソースを消費し、ゲームのフレームレート低下やカクつきを引き起こすことがあります。
- **ネットワーク遅延**: リアルタイムスキャンやファイアウォール機能が、ゲームのネットワーク通信に干渉し、ラグやパケットロスを発生させることがあります。
- **誤検知によるファイル削除**: ゲームの重要なファイルを誤ってマルウェアと検知し、隔離または削除してしまうことがあります。
- **アップデートの阻害**: ゲームのアップデートファイルをダウンロードする際に、セキュリティソフトがダウンロードをブロックしたり、速度を低下させたりすることがあります。
これらのデメリットは、特に競技性の高いオンラインゲームをプレイする際に顕著に現れることがあります。セキュリティを重視しすぎると、快適なゲームプレイが損なわれる可能性があるのです。
セキュリティとゲームを両立させるための戦略
セキュリティとゲームのどちらか一方を諦める必要はありません。両者を上手に両立させるための戦略をいくつかご紹介します。
| 戦略 | 具体的な内容 | 考慮すべき点 |
|---|---|---|
| **ゲームモードの活用** | 多くのセキュリティソフトウェアには「ゲームモード」が搭載されており、ゲーム実行中に自動的に監視レベルを緩和したり、通知を抑制したりします。 | すべてのセキュリティソフトに搭載されているわけではなく、効果も製品によって異なります。設定が適切に適用されているか確認が必要です。 |
| **信頼ゾーンへの登録** | タルコフの実行ファイルやインストールフォルダを、セキュリティソフトウェアの「信頼するアプリケーション」や「除外リスト」に登録します。 | これにより、そのファイルやフォルダ内はスキャンや監視の対象外となります。ただし、そのフォルダ内にマルウェアが侵入した場合、検知されないリスクがあります。 |
| **特定の機能の一時的な無効化** | 今回のシステムウォッチャーのように、ゲーム起動時のみ特定の監視機能を一時的に無効化します。 | 最も直接的な解決策ですが、無効化中はセキュリティリスクが上昇します。ゲーム終了後に必ず有効化し直す習慣が重要です。 |
| **軽量なセキュリティソフトの検討** | PCへの負荷が少ない、あるいはゲームとの互換性が高いと評判のセキュリティソフトウェアに乗り換えることも選択肢の一つです。 | セキュリティレベルや機能が低下しないか、十分に比較検討する必要があります。 |
| **Windows Defenderの活用** | Windows標準のセキュリティ機能であるWindows Defenderをメインのセキュリティ対策とし、より軽量な補助ツールを併用する。 | Windows Defenderも年々機能が強化されており、一般的な脅威には十分対応できます。ただし、追加の保護が必要な場合は、その分ユーザー自身の注意深さが求められます。 |
これらの戦略を組み合わせることで、セキュリティレベルを維持しつつ、快適なゲーム体験を実現することが可能です。重要なのは、自身のPCの使用状況やリスク許容度に応じて、最適なバランスを見つけることです。
実践アドバイス:今後のトラブルシューティングと予防策
今回のタルコフ起動エラーの解決は、特定のセキュリティソフトウェアが原因であるという、非常に具体的なものでした。しかし、PCゲームのトラブルシューティングは常に「これ一つで解決」というわけにはいきません。ここでは、今後のゲームプレイで同様の問題に直面しないための予防策と、もしもの時のトラブルシューティングのヒントを提供します。
- エラーメッセージを正確に記録する: どのようなエラーメッセージが表示されたか、スクリーンショットを撮るなどして正確に記録しておきましょう。検索する際の重要な手がかりとなります。
- 最近の変更点を振り返る: エラーが発生する直前に、PCに何か変更を加えませんでしたか?新しいソフトウェアのインストール、ドライバーの更新、Windowsアップデート、セキュリティソフトの設定変更など、些細なことでも原因となる可能性があります。
- 公式情報を確認する: ゲームの公式サイト、開発元のSNS、公式フォーラムなどを確認し、同様の問題が報告されていないか、既知の不具合情報が公開されていないかをチェックしましょう。
- コミュニティの情報を参考にする: Reddit、Discord、日本のゲームフォーラムなど、プレイヤーコミュニティで同様の報告がないか検索します。今回のカスペルスキーの事例のように、特定の環境でしか発生しない問題は、コミュニティの情報が非常に役立つことがあります。
- 一つずつ試す: トラブルシューティングは、一度に複数の解決策を試すのではなく、一つずつ試しては結果を確認する、という地道な作業が重要です。これにより、どの対策が効果があったのか、あるいはなかったのかを正確に特定できます。
ゲーム起動トラブルの予防策
未然にトラブルを防ぐための予防策も重要です。
特に、セキュリティソフトウェアの設定は、今回の件で最も重要なポイントであることが示されました。一見すると関係なさそうなセキュリティ機能が、ゲームの起動を妨げる可能性を常に意識しておくことが、今後のトラブルシューティングにおいて非常に役立つでしょう。
【まとめ】「User action required」エラーはカスペルスキーで解決!
Steam版タルコフで発生する「User action required」エラーは、多くのプレイヤーを悩ませる厄介な問題です。本記事を通じて、このエラーの根本的な原因と、具体的な解決策について深く掘り下げてきました。
この記事の結論
「User action required」エラーの決定的な解決策は、カスペルスキー(Kaspersky)の「システムウォッチャー」を無効化することです。
一般的な再インストールやドライバー更新といったトラブルシューティングでは解決しなかったこの問題は、セキュリティソフトウェアの深いシステム監視機能が、タルコフの起動プロセスを不正なものと誤認し、ブロックしていたことが原因でした。
PCゲームのトラブルシューティングは、時に複雑で根気のいる作業ですが、エラーメッセージの正確な把握、試した解決策の記録、そして今回のように「まさかこれが原因?」と思うような外部要因への着目点が、問題解決の鍵を握ります。
カスペルスキーをご利用中で、同様のエラーに遭遇しているタルコフプレイヤーの皆さんは、ぜひ本記事で紹介したシステムウォッチャーの無効化を試してみてください。そして、ゲーム終了後はセキュリティを確保するため、システムウォッチャーを再度有効化することをお忘れなく。
これで、あなたも無事にタルコフの世界へと帰還し、再び激しい銃撃戦やスリリングな脱出劇を存分に楽しめるはずです。快適なタルコフライフを応援しています!




