Google の新しい読み上げAI「Gemini 3.8 Flash TTS(ジェミニ・さんてんはち・フラッシュ・ティーティーエス)」を使って、写真スタジオの広告動画のナレーションを作ってみました。TTS は「文章を声にする」という意味です。結論から言うと、声の自然さは前の世代の Google の声より一段上で、広告1本ぶん(24秒)の読み上げにかかる料金は約1円でした。話し方は「落ち着いた自然な速さで」のように言葉で指示でき、本文とは別の欄に書くのがコツです。この記事では、4つの声の聞き比べ(音声つき)、料金、使い方、つまずいた点をまとめます。
※ 聞き比べに使ったのは、編集部が作った架空の写真スタジオの広告(見本)のナレーションです。
結論:Gemini 3.8 Flash TTS の要点
| どんなAI | 文章を、人のような声で読み上げる Google のAI(Gemini API で使う) |
|---|---|
| モデル | Flash(gemini-3.8-flash-tts)と、軽い Flash-Lite(gemini-3.8-flash-lite-tts) |
| 声の種類 | 30種類(Aoede・Kore・Sulafat など。日本語も読める) |
| 話し方の指示 | 「明るく」「ゆっくり」などを、本文とは別の欄(style)に書く |
| 料金(Flash) | 音声の出力が100万トークンあたり9ドル。音声は1秒=25トークン |
| 広告1本(24秒) | 約600トークン=約0.005ドル(約1円) |
| 無料枠 | あり。ただし今回試したときは「1分に3回・1日10回」で止まった |
Gemini 3.8 Flash TTS とは
Gemini 3.8 Flash TTS は、Google が Gemini API で出している読み上げ専用のモデルです。公式の説明では「録音スタジオなみの声の質」「表現ゆたかな話し方」「長い文章や会話でも安定して読める」ことが特長とされています。
同じ仲間に、処理が軽く、少し安い Flash-Lite があります。公式ページによると、対応している言語は Flash が130、Flash-Lite が101です。声は30種類から選びます。
料金:広告1本で約1円
料金は「トークン」という単位で計算します。音声は1秒が25トークンなので、24秒のナレーションなら約600トークンです。
| モデル | 入力(文字)100万トークン | 出力(音声)100万トークン | 24秒あたりのめやす |
|---|---|---|---|
| Gemini 3.8 Flash TTS | 0.50ドル | 9.00ドル | 約0.8円 |
| Gemini 3.8 Flash-Lite TTS | 0.50ドル | 6.00ドル | 約0.5円 |
| (参考)Gemini 3.1 Flash TTS プレビュー | 1.00ドル | 20.00ドル | 約1.8円 |
※ 1ドル=150円で計算。入力の文字は数十トークンなので、ほぼ0円です。Google の料金ページには、2027年1月1日から Flash は音声18ドル、Flash-Lite は12ドルと、どちらも2倍になると書かれています。
比べるために、Google Cloud の読み上げ「Chirp 3 HD(チャープ・スリー・エイチディー)」の料金も書いておきます。こちらは文字数で計算し、毎月100万文字までは無料、そのあとは100万文字で30ドルです。24秒の台本はおよそ100文字なので、料金だけなら Chirp 3 HD のほうが安くなります。
4つの声を聞き比べ(音声つき)
同じ台本(6つの文)を、4つの声で読ませました。台本は「いつもの休日を、一生ものの写真に。」から始まる、写真スタジオの広告の文です。
① Chirp 3 HD(Aoede):前の世代の Google の声
はっきりして聞き取りやすい声です。ただ、文の終わりの上がり下がりが少し一定で、「読み上げている」感じが残ります。
② Gemini 3.8 Flash(Aoede)
同じ Aoede という名前の声でも、Gemini のほうが息づかいや間が自然で、ナレーターが話しているように聞こえます。
③ Gemini 3.8 Flash(Sulafat)
やわらかく、あたたかい声です。編集部では、写真スタジオの広告にはこの声がいちばん合うと感じ、最終的にこれを選びました。
④ Gemini 3.8 Flash-Lite(Sulafat)
Flash と比べると、少しテンポが速く、声の表情はやや控えめです。たくさん作る用途なら、安い Flash-Lite でも十分使えます。
話す速さは「言葉の指示」で変えられる
Gemini 3.8 Flash TTS では、話し方を style(話し方の欄)に言葉で書きます。同じ声(Sulafat)に、3通りの指示を出して比べました。
A:「少しゆっくり」
B:「テンポよく、少し速めに」
C:「落ち着いた自然な速さで」
A はゆったりしすぎて広告には長く、B は早口で少し不自然でした。広告には C の「自然な速さ」がいちばん聞きやすいという結果です。
使い方(Gemini API で1文を読ませる)
使うには、Google AI Studio で Gemini API の「APIキー」(使うための鍵)を作ります。そのうえで、読む文・話し方・声の名前を送ります。公式の説明書にある形は次のとおりです(鍵の部分は自分のものに置きかえます)。
curl -X POST "https://generativelanguage.googleapis.com/v1beta/interactions" \
-H "x-goog-api-key: $GEMINI_API_KEY" \
-H "Content-Type: application/json" \
-d '{
"model": "gemini-3.8-flash-tts",
"input": [{
"type": "user_input",
"content": [{
"type": "text",
"text": "いつもの休日を、一生ものの写真に。",
"annotations": [{ "type": "speech_metadata", "style": "落ち着いた自然な速さで" }]
}]
}],
"response_format": { "type": "audio" },
"generation_config": { "speech_config": [ { "voice": "Sulafat" } ] }
}'
返ってくる音声は WAV(24kHz・モノラル)です。編集部では、AIのプログラミング道具「Claude Code」にこの作業を頼み、6つの文をまとめて声にして、動画の長さも声に合わせて自動でそろえるようにしました。
注意点:つまずいたところ
話し方の指示を本文に書くと、そこまで読まれる
公式の説明にあるとおり、本文(text)は「書いてあるとおりに読む台本」として扱われます。本文に「明るく元気に読んで:」と書くと、こうなります。
話し方は必ず style の欄に書きます。また、数字や地名は「いちまんごせんえん」のように、ひらがなで書くと読み間違えが減ります。
無料枠はすぐ止まる
2026年10月に試したときは、無料のままだと「1分に3回まで」「1日10回まで」の上限で止まりました(1文につき1回と数えます)。6つの文の台本を2種類作るだけで、1日の上限に届きます。何種類も聞き比べるなら、支払い方法を登録した鍵を使うほうが楽です。上限は変わることがあるので、エラーの文面で確かめてください。
Google Cloud の「音声合成専用」の鍵では使えない
Chirp 3 HD 用に作った、Text-to-Speech(音声合成)だけに使える鍵で試すと、「このAPIへのリクエストはブロックされています」という意味のエラー(403)になりました。Gemini 3.8 Flash TTS には、Gemini API を使える鍵が必要です。
実際にかかった費用
今回、声を変えたり、速さの指示を変えたりして、何十回も作り直しました。それでも料金のめやすは合計で約0.06ドル(約10円)です。前半は無料枠で作ったので、実際の支払いはもう少し少なくなります。
よくある質問
Q. 日本語は自然に読めますか?
A. 今回の広告の台本では、ほぼ自然に読めました。ただし数字や地名は、ひらがなで書いたほうが安全です。
Q. Flash と Flash-Lite はどちらがいい?
A. 声の表情を重視するなら Flash、たくさん作って安くしたいなら Flash-Lite がおすすめです。料金の差は、音声100万トークンあたり3ドルです。
Q. 作った声は広告に使えますか?
A. 使う前に、Gemini API の利用規約と、使う媒体(YouTube や Instagram など)の広告のルールを確かめてください。
まとめ
- Gemini 3.8 Flash TTS は、前の世代より自然な声で、話し方を言葉で指示できる
- 広告1本(24秒)の読み上げは約1円。2027年1月からは約2倍の予定
- 話し方は本文ではなく style の欄に書く。無料枠は1日10回ほどで止まる
- 編集部のおすすめは、Flash の Sulafat+「落ち着いた自然な速さで」
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