Android Studioエミュレーターが起動しない!「terminated」エラーの原因と即解決策
Android開発を始めよう、あるいは既存プロジェクトを修正しようとAndroid Studioを立ち上げ、いざエミュレーターを起動!…と思ったら、一瞬画面が表示されたかと思うとすぐに消えてしまい、「terminated」という非情なメッセージが表示される。
「さっきまで動いていたのに…」「何が原因だ…?」
そんな経験、ありませんか? 特にWindows環境でAndroid Studioを使っている方に比較的多く発生するこの問題。筆者も以前、このエラーに遭遇し、原因特定と解決に多くの時間を費やした経験があります。
この記事では、Android Studioのエミュレーターが起動せず、「The emulator process for AVD [AVD名] has terminated.」というエラーが表示される現象について、その主な原因と、効果的な解決策をステップバイステップで詳しく解説します。
この記事を最後まで読めば、
といったメリットがあります。ぜひ、一緒にエミュレーター起動の壁を乗り越えましょう!
まずは、どのような状況でこのエラーが発生するのか、そして問題解決の糸口となるエラーログについて確認しましょう。
idea.log
) の確認この種の問題が発生した場合、Android Studioの詳細な動作ログである idea.log
を確認することが、原因特定に非常に役立ちます。
idea.log
は通常、以下の場所にあります(環境やバージョンによって多少異なります)。
C:\Users\[ユーザー名]\AppData\Local\Google\AndroidStudio[バージョン]\log\idea.log
このログファイルを開いて、エミュレーター起動を試みた直後のログを確認してみてください。以下のようなエラーや警告が繰り返し記録されている場合、特定の原因が強く疑われます。
Failed to process .ini file C:\Users\[日本語ユーザー名]\.android\avd\...\quickbootChoice.ini for reading.
Failed to save 'C:\Users\[日本語ユーザー名]\.android\avd\...\config.ini'
Could not open 'C:\Users\[日本語ユーザー名]\.android\avd\...\<temp>': ファイル名、ディレクトリ名、またはボリューム ラベルの構文が間違っています。
Critical: Failed to load opengl32sw (指定されたモジュールが見つかりません。)
QEMU main loop exits abnormally with code 1
上記のログに心当たりがある方は、まさにこの記事で解説するケースに該当する可能性が高いです。
先ほどのエラーログ、特に C:\Users\[日本語ユーザー名]\.android\avd\...
というパスが含まれている点にお気づきでしょうか?
多くの開発ツールや一部の古いライブラリ、システムは、ファイルパスに半角英数字(ASCII文字)以外の文字(日本語、記号など)が含まれていると、正しくパスを認識できなかったり、ファイルの読み書きに失敗したりすることがあります。
Android Studioのエミュレーター(QEMUという仮想化技術を利用)や関連ツールも、この問題の影響を受けることがあります。特に、エミュレーターの設定ファイル(AVDデータ)や一時ファイルは、デフォルトではユーザーフォルダ内の .android
ディレクトリ以下に保存されます。
C:\Users\[日本語ユーザー名]\.android\avd\[AVD名].avd\...
上記のようなパスに日本語が含まれていると、エミュレーターが必要とする設定ファイルや一時ファイルへのアクセスに失敗し、結果としてエミュレータープロセスが異常終了(terminated)してしまうのです。
さらに、ファイル読み書きの失敗に引きずられて、グラフィック描画に必要なOpenGL関連のモジュールの読み込みにも失敗し(Failed to load opengl32sw
)、エラーが連鎖している可能性も考えられます。
PCのWindowsユーザー名自体を変更するのは、システム全体に影響を与え、予期せぬ不具合を引き起こすリスクが高いです(後述)。
そのため、より安全で確実な方法として、Android Studioやエミュレーターが使用する特定のフォルダの場所を、日本語を含まないパスに変更します。
具体的には、以下の3つの場所のパスを確認・変更することが効果的です。
次のセクションから、それぞれの具体的な手順を解説していきます。
エミュレーターの起動に必要なAVDデータは、デフォルトでユーザーフォルダに保存されます。ここが日本語パス問題の核心となる場所です。環境変数を設定することで、この保存場所を変更します。
Windowsのエクスプローラーを開き、日本語を含まない新しいフォルダを作成します。
例: C:\AndroidAVD
または D:\MyAVDs
(ドライブはC:以外でも構いません。重要なのは、フォルダのパス全体に日本語や特殊記号が含まれないことです。)
ANDROID_AVD_HOME
C:\AndroidAVD
)環境変数の変更をシステムに確実に反映させるため、必ずPCを再起動してください。これにより、Windowsおよび実行中のアプリケーションが新しい環境変数設定を認識するようになります。
PC再起動後、Android Studioを起動します。
この手順で作成されたAVDは、ステップ1で指定した新しいフォルダパス(例: C:\AndroidAVD\.android\avd
)に保存されます。これにより、日本語パス問題が解消され、エミュレーターが正常に起動する可能性が非常に高いです。
AVDだけでなく、Android SDK自体のパスに日本語が含まれている場合も、潜在的な問題を引き起こす可能性があります。念のため、SDKのパスも確認し、必要であれば変更しておきましょう。
C:\SDKs\AndroidSDK
)を事前に作成しておき、そのパスを指定します。SDKのパス変更は、特に大規模なアップデート時などに役立つことがあります。SDKファイル自体に問題が発生する可能性も低減できます。
これはエミュレーター起動エラーに直結するケースは少ないかもしれませんが、プロジェクトファイル自体も日本語パスに置かれていると、ビルド時などに予期せぬエラーが発生することがあります。
今後の開発で問題を避けるためにも、プロジェクトの保存場所も半角英数字パスにすることをお勧めします。
Android StudioのProjectビューで、プロジェクトのルートフォルダを右クリックし、「Show in Explorer」や「Open in Finder」などを選択すると、そのフォルダが開きます。開いたエクスプローラー/Finderのアドレスバーでパスを確認してください。
プロジェクトのパスに日本語が含まれている場合は、フォルダごと新しい半角英数字パスの場所(例: C:\AndroidStudioProjects
)に移動します。
プロジェクトを移動した後、Android Studioで File > Open を選択し、移動先のフォルダを指定してプロジェクトを開き直してください。
新規プロジェクトを作成する際も、保存場所に日本語が含まれないように注意しましょう。
上記のパス変更で多くの場合問題は解決するはずですが、もしそれでもエミュレーターが正常に起動しない場合は、以下の点も試してみてください。
新しい仮想デバイスを作成する際、使用するシステムイメージ(Android OSのバージョン)を一度削除し、再ダウンロードしてみてください。イメージファイル自体が破損している可能性も考えられます。Device Managerで対象のAVDを選択し、「Wipe Data」や「Show in Explorer」で .avd
フォルダを開き、中の system.img
などを確認後、削除して再作成することで、新しいイメージがダウンロードされます。別のAPIレベルのイメージでAVDを作成してみるのも有効です。
エミュレーターのグラフィック描画に関する問題かもしれません。
Device Managerで対象のAVDの編集(鉛筆アイコン)をクリックし、「Show Advanced Settings」を展開します。「Graphics」の項目を「Hardware – GLES 2.0」から「Software – GLES 2.0」に変更して保存し、再度起動を試してみてください。ハードウェアアクセラレーションに問題がある場合に有効なことがあります。
ごくまれに、Android StudioやSDK Tools自体の不具合で問題が発生している可能性もゼロではありません。Android StudioやSDK Toolsの最新版へのアップデート、または一度アンインストールしてからの再インストールも最終手段として検討できます。
インターネット上の情報で、「Windowsのユーザーフォルダ名(C:\Users\[ユーザー名]
)自体を日本語から英語に変更する」という解決策を目にすることがあるかもしれません。
この方法は、レジストリの変更など、Windowsシステム内部に深く関わる操作が必要です。変更手順を誤ると、
といった深刻な問題を引き起こす可能性が非常に高いです。
Android Studioのエミュレーター起動問題のためだけに、このリスクを取ることは全く推奨できません。この記事で解説したように、Android Studioが参照する特定のパスのみを変更する方法が、はるかに安全で効果的です。
Android Studioのエミュレーターが「terminated」エラーで起動しない問題の多くは、Windowsのユーザー名に日本語が含まれていることに起因するパスの問題です。
これらの手順を実行することで、多くのケースでエミュレーター起動の問題は解決し、快適なAndroid開発環境を取り戻せるはずです。
もし、この記事の方法で無事にエミュレーターが起動できたなら幸いです! これで開発がスムーズに進むことを願っています。
この問題に遭遇して困っている同僚や友人にも、ぜひこの記事をシェアしてあげてください。
Happy Coding!