WindowsでZIPファイルを超簡単に作る方法

デジタルデータのやり取りや保管において、ZIPファイルは非常にポピュラーな形式です。複数のファイルを一つにまとめられるだけでなく、元のファイルサイズよりも容量を小さくできるため、メール添付やオンラインストレージへのアップロードがスムーズになります。

「難しそう」「特別なソフトが必要なんじゃないの？」と思っている方もいるかもしれませんが、ご安心ください。Windowsには、標準機能だけで簡単にZIPファイルを作成する機能が備わっています。

この記事では、Windows環境でZIPファイルを超簡単に作成する方法を、初心者の方でも迷わないように丁寧に解説します。さらに、知っておくと便利な応用テクニックや、より高度なことができる外部ソフトの情報、そしてよくあるトラブルとその対処法まで、ZIPファイル作成に関するあらゆる疑問にお答えします。

この記事を読めば、あなたも今日からWindowsで自在にZIPファイルを作成できるようになりますよ！

ZIPファイルとは？ なぜZIPファイルにする必要があるの？

まず、「ZIPファイルとは何か？」そして「なぜ私たちはファイルをZIP形式にまとめる必要があるのか？」という基本的な部分から見ていきましょう。

ZIP形式は、1989年にフィル・カッツ氏によって開発されて以来、その手軽さと互換性の高さから世界中で広く利用されています。WindowsやmacOS、Linuxといった主要なオペレーティングシステムであれば、特別なソフトをインストールしなくても、標準機能でZIPファイルの作成や解凍（元の状態に戻すこと）ができます。

では、なぜわざわざファイルをZIP形式にする必要があるのでしょうか？主な理由としては以下の点が挙げられます。

ZIPファイルにするメリット

• 容量を小さくできる（圧縮）: 特にテキストファイルや画像ファイルなどは、圧縮することでファイルサイズを大幅に小さくできる場合があります。これにより、ストレージ容量の節約になったり、インターネット経由でのファイル転送が速くなったりします。
• 複数のファイルを一つにまとめられる（アーカイブ）: 関連する複数のファイルを一つのZIPファイルにまとめることで、管理がしやすくなります。メールに添付する際なども、ファイルを一つだけ添付すれば済むため、受け取る側も扱いやすくなります。
• ファイルの転送効率が良い: ファイルを一つにまとめることで、ファイル転送時に発生するオーバーヘッド（通信のための付加情報）を減らすことができます。
• 互換性が高い: ほとんどのOSやデバイスで標準的にサポートされているため、相手の環境を気にせずファイルを共有できます。

これらのメリットから、ZIPファイルはビジネスシーンでの書類のやり取りや、プライベートでの写真・動画の共有など、様々な場面で活用されています。

Windows標準機能でZIPファイルを作る基本手順

それでは、いよいよWindowsの標準機能を使ってZIPファイルを作成する具体的な手順を見ていきましょう。ここでは、最も一般的で簡単な「右クリックメニュー」を使う方法を解説します。

Windows標準機能を使う最大のメリットは、追加でソフトをインストールする必要がないことです。PCを購入してすぐに、誰でも簡単にZIPファイルを作成できます。

手順1：圧縮したいファイルまたはフォルダを選ぶ

まず、ZIPファイルにまとめたいファイルやフォルダをエクスプローラーで開きます。

• 単一のファイルを圧縮する場合: 圧縮したいファイル一つだけを選択します。
• 複数のファイルを圧縮する場合: 圧縮したいファイルを複数選択します。ファイルを選択する際は、以下の方法が便利です。
  • 連続したファイルをまとめて選択: 最初のファイルをクリックし、キーボードの Shift キーを押しながら最後のファイルをクリックすると、その間のファイルが全て選択されます。
  • 飛び飛びのファイルを個別に選択: キーボードの Ctrl キーを押しながら、圧縮したいファイルを一つずつクリックしていきます。
• フォルダごと圧縮する場合: 圧縮したいフォルダ一つ、または複数のフォルダを選択します。フォルダを選択すると、そのフォルダに含まれる全てのファイルとサブフォルダも一緒に圧縮されます。

手順2：右クリックメニューを開く

選択したファイルまたはフォルダの上で、マウスの右ボタンをクリックします。すると、コンテキストメニュー（右クリックメニュー）が表示されます。

手順3：「送る」から「圧縮 (zip形式) フォルダ」を選ぶ

表示された右クリックメニューの中に、「送る(N)」という項目があります。この項目にマウスポインターを合わせると、さらにサブメニューが表示されます。

そのサブメニューの中に、「圧縮 (zip形式) フォルダ」という項目がありますので、これをクリックします。

手順4：ZIPファイルが作成される

「圧縮 (zip形式) フォルダ」をクリックすると、選択したファイルやフォルダと同じ場所に、新しいZIPファイルが作成されます。

作成されたZIPファイルの名前は、選択したファイルやフォルダの名前を元に自動的に付けられます。

• 単一ファイルを圧縮した場合: 元のファイル名と同じ名前（例: document.docx.zip）になります。
• 複数のファイルを圧縮した場合: 選択したファイルの一つ目の名前（例: photo1.jpg を最初に選んだ場合、photo1.zip）になることが多いですが、Windowsのバージョンや選択順序によって変わることもあります。
• フォルダを圧縮した場合: 元のフォルダ名と同じ名前（例: My Documents.zip）になります。

これで、Windows標準機能を使ったZIPファイルの作成は完了です！非常に簡単ですよね。

ZIPファイル作成の応用テクニック

基本のZIPファイル作成はマスターできましたが、さらに便利に使うための応用テクニックもご紹介します。

作成されたZIPファイルの名前を変更する

ZIPファイルが作成された直後は、自動的に名前が付けられます。この名前は、作成後いつでも変更できます。

1. 作成されたZIPファイルをクリックして選択します。
2. ファイル名の上で右クリックし、メニューから「名前の変更(M)」を選択します。または、ファイルを選択した状態でキーボードの F2 キーを押します。
3. ファイル名が編集できるようになるので、任意の名前を入力します。
4. 名前を入力し終えたら、キーボードの Enter キーを押すか、ファイル名の編集エリア以外の場所をクリックします。

ファイル名には、内容が分かりやすい名前を付けるのがおすすめです。例えば、「2023年旅行写真」「〇〇プロジェクト提出資料」のように具体的にすると、後から見たときに何のファイルかすぐに判断できます。

パスワードを設定してセキュリティを高める（標準機能では不可）

「ZIPファイルにパスワードをかけて、特定の人以外は見られないようにしたい」と考える方もいるでしょう。しかし、残念ながら、Windowsの標準機能だけではZIPファイルにパスワードを設定することはできません。

パスワードを設定するには、後述するような外部の圧縮・解凍ソフトを利用する必要があります。セキュリティを高めたい場合は、信頼できるフリーソフトや有料ソフトの導入を検討しましょう。

圧縮率を調整する（標準機能では不可）

Windows標準機能でZIPファイルを作成する際、圧縮率は自動的に決定され、ユーザーが細かく調整することはできません。

より高い圧縮率を目指したい場合や、逆に圧縮にかかる時間を短縮したい（圧縮率を下げてでも速度を優先したい）場合なども、外部の圧縮・解凍ソフトが必要になります。多くの外部ソフトでは、圧縮レベルを選択するオプションが用意されています。

このように、Windows標準機能は手軽さが魅力ですが、パスワード設定や圧縮率調整といった高度な機能は利用できません。これらの機能が必要な場合は、外部ソフトの利用を検討してください。

ZIP以外の圧縮形式とそれぞれの特徴

ZIPファイルは非常に一般的ですが、他にもいくつかの圧縮形式が存在します。それぞれの形式には異なる特徴があり、用途に応じて使い分けることでより効率的なファイル管理が可能になります。

ここでは、代表的な圧縮形式をZIPと比較しながらご紹介します。これらの情報は、どのような場合にどの形式が適しているかを判断するのに役立ちます。

「圧縮率」は、ファイルの種類や内容によって大きく変動します。テキストファイルやビットマップ画像などは圧縮率が高くなりやすい一方、JPEG画像やMP3音声、すでに圧縮されている動画ファイルなどは、元の形式ですでに圧縮されているため、ZIPなどで再圧縮しても容量があまり小さくならないことがあります。

「互換性」は、その形式のファイルをどのOSやソフトで扱えるかを示します。互換性が高いほど、相手に送ったときに「開けない」といったトラブルが起きにくくなります。

このように、各形式には一長一短があります。迷ったらまずは互換性の高いZIP形式を選んでおけば間違いありません。より高い圧縮率が必要な場合や、パスワード設定をしたい場合は、RARや7zといった形式を検討し、対応する外部ソフトを利用することになります。

より高度な機能を使いたいなら！圧縮・解凍ソフトの利用

Windows標準機能でのZIP作成は手軽ですが、パスワード設定や他の圧縮形式の利用、より細かい設定などはできません。これらの高度な機能を使いたい場合は、外部の圧縮・解凍ソフトを導入するのが一般的です。

世の中には様々な圧縮・解凍ソフトがありますが、ここでは特にWindowsユーザーに人気があり、機能も充実しているフリーソフトをいくつかご紹介します。

• ZIPファイルにパスワードを設定できる。
• RARや7zなど、ZIP以外の様々な圧縮形式に対応できる。
• より高い圧縮率を設定できる場合がある。
• 巨大なファイルを分割して圧縮する機能があるソフトも。
• 圧縮・解凍時の詳細な設定が可能。
• 自己解凍書庫（解凍ソフトがなくても解凍できるファイル）を作成できるソフトも。

人気のフリー圧縮・解凍ソフト

これらのソフトは、それぞれの公式サイトから無料でダウンロードして利用できます。インストールすれば、Windows標準機能ではできなかったパスワード付きZIPファイルの作成などが可能になります。

多くの外部ソフトでは、圧縮したいファイル/フォルダを選択して右クリックし、ソフト名が表示されたサブメニューから「圧縮」や「書庫を作成」といった項目を選ぶと、圧縮形式やパスワードを設定するためのダイアログが表示されます。そこでZIP形式を選択し、任意のパスワードを入力して実行すれば、パスワード付きZIPファイルが作成できます。詳しい手順は、利用するソフトのマニュアルを参照してください。

外部ソフトを導入することで、ZIPファイル活用の幅が大きく広がります。ご自身の目的やPCスキルに合わせて、最適なソフトを選んでみてください。

ZIPファイル作成時・利用時の注意点

ZIPファイルは非常に便利ですが、いくつか知っておきたい注意点があります。特に、他の人とファイルをやり取りする際には、思わぬトラブルを避けるためにも以下の点に留意しましょう。

これは特に、Windowsユーザーが作成したZIPファイルをMacユーザーが開く場合や、逆にMacユーザーが作成したZIPファイルをWindowsユーザーが開く場合に発生しやすい問題です。

原因:

WindowsとMacでは、ファイル名やフォルダ名に使用される文字のエンコーディング（文字コード）が異なることが原因です。WindowsのShift_JISやCP932といった文字コードで付けられたファイル名が、MacのUTF-8で正しく認識されずに文字化けしてしまうことがあります。

対策:

1. 外部ソフトを利用する:
   多くの外部圧縮・解凍ソフト（Explzh, 7-Zipなど）には、ZIPファイルを作成する際に文字コードをUTF-8に指定するオプションがあります。相手がMacユーザーである可能性が高い場合は、UTF-8で圧縮することで文字化けを防げます。
2. ファイル名に特殊文字を使わない:
   機種依存文字（①、②など）、半角カタカナ、一部の記号などは、環境によって正しく表示されない可能性があります。ファイル名には、半角英数字とハイフン、アンダースコアのみを使用するのが最も安全です。スペースも全角スペースは避け、半角スペースまたはアンダースコアに置き換えるのが無難です。
3. 相手に特定の解凍ソフトを使ってもらう:
   Mac側でも、UTF-8で圧縮されたZIPファイルを正しく解凍できるソフト（例: The Unarchiverなど）を使ってもらうことで、文字化けを防げる場合があります。

ファイルを送る相手の環境が不明な場合は、ファイル名を半角英数字にするだけでも文字化けのリスクを減らせます。

巨大ファイルや多数のファイルを圧縮する場合

非常に大きなファイル（数GB以上）や、数千、数万といった非常に多数のファイルをまとめて圧縮する場合、Windows標準機能では処理に時間がかかったり、途中でエラーが発生したりする可能性があります。

このような場合は、メモリ管理や大容量ファイルの扱いに長けた外部ソフトを利用する方が安定して作業できることが多いです。また、巨大なファイルを圧縮する場合は、分割圧縮機能のあるソフトを使うと、メール添付のサイズ制限に対応できたり、転送途中でエラーが発生した場合に最初からやり直す手間を省けたりするメリットがあります。

圧縮しても容量があまり減らないファイルがある

前述したように、画像ファイル（JPEG, PNG）や音楽ファイル（MP3, AAC）、動画ファイル（MP4, MOV）などは、すでに元の形式で圧縮されているため、ZIP形式で再圧縮しても容量がほとんど変わらないか、かえってわずかに増えることもあります。

「圧縮したのに容量が減らない！」と思っても、それは異常ではありません。これらのファイルは、主に複数のファイルを一つにまとめる（アーカイブ）目的でZIP化すると考えましょう。

ZIPファイルを開く際にエラーが出る場合

受け取ったZIPファイルを開こうとしたときにエラーが出る場合は、いくつかの原因が考えられます。

• ファイルが破損している: 転送中にファイルが破損してしまった可能性があります。送り主に再送をお願いしてみましょう。
• 対応していない圧縮形式: ZIPファイルに見えても、実は別の形式（例: ZIP形式だが、特定のソフト独自の機能で作成されたもの）である可能性があります。その場合は、対応する外部ソフトが必要です。
• ファイル名に問題がある: 文字化けの原因となるような特殊なファイル名が含まれていると、解凍時にエラーになることがあります。対応する外部ソフトや、ファイル名を変更してから解凍を試みるなどの対策が必要です。
• ファイルサイズが大きすぎる: 使用している解凍ソフトやOSが、そのサイズのZIPファイルを扱えない場合があります。

これらの注意点を踏まえておくことで、ZIPファイル作成や共有がよりスムーズに行えるようになります。

【まとめ】WindowsでZIPファイルを超簡単に作る方法

この記事では、WindowsでZIPファイルを作成する様々な方法と、それにまつわる便利な情報や注意点をご紹介しました。

• Windowsでは、特別なソフトを使わなくても、標準機能（右クリックメニューの「送る」→「圧縮 (zip形式) フォルダ」）で簡単にZIPファイルを作成できる。
• ZIPファイルは、複数のファイルを一つにまとめたり、容量を小さくしたりするのに非常に便利。
• Windows標準機能では、パスワード設定や圧縮率調整といった高度な機能は利用できない。
• パスワード設定や他の圧縮形式（RAR, 7zなど）を使いたい場合は、Lhaplus, Explzh, 7-Zipといった外部のフリー圧縮・解凍ソフトが便利。
• ZIPファイルを他の人と共有する際は、文字化けに注意が必要。特にMacユーザーとのやり取りでは、ファイル名を半角英数字にするか、UTF-8対応の外部ソフトで圧縮するのが有効な対策。
• すでに圧縮されているファイル（JPEG, MP3など）は、ZIP化しても容量があまり減らないことが多い。

Windows標準機能でのZIP作成は、まさに「超簡単」です。まずはこの方法をマスターして、ファイル整理や転送に役立ててください。

ZIPファイルは、デジタルデータの扱いを効率化するための強力なツールです。この記事でご紹介した方法や知識を活用して、日々のPC作業をより快適に進めていただければ幸いです。もし、さらに高度な機能が必要になったら、ぜひ外部の圧縮・解凍ソフトも試してみてください。

これであなたも、WindowsでのZIPファイル作成は完璧ですね！